【D2C×データ活用】D2C企業のデータ分析基盤構築の三事例

D2C企業におけるデータ基盤・データ活用

こんにちは!EC・小売ドメインでデータ活用支援を行っている近藤です!

D2C企業においては、小売業者・ECモールなどの第三者を介さず直接顧客と繋がれるため様々なデータを取得することができます。それらのデータを有効活用することで、商品改善や新しいサービスの提供などよりユーザーに刺さるブランドづくりを行うことができます。

しかし様々なデータを取得するだけでは活用することはできません。データの価値を最大限活かすためには有効活用する環境を準備する必要があります。

そのためにはデータを一元管理できるデータ基盤を作成することが一般的です。

データ基盤を構築する目的は下記の項目などが挙げられます。

  • 部門間でサイロ化されているデータを開放し、データを一元管理するため
  • 手作業で行っていた集計業務を自動化し、より効果的なデータ活用を促進させるため
  • 用途ごとのデータマートを作成し、非エンジニアでもデータを活用しやすくするため

データ基盤を構築することでより効果的にデータを活用しやすくなります。

これから紹介する3つの事例ではどのようにデータ基盤を構築しているのか、データ基盤を用いてどのようにデータを活用しているのかを紹介します。

※ 本記事で紹介する事例は参考URL発表時点での活用事例となります。最新の基盤環境とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

事例

1. BASE FOOD / ベースフード株式会社

1つ目の事例は完全栄養食サブスクサービスを提供しているBASEFOODです。

BASEFOODではAWSを用いてシステムを内製化しており分析基盤においてもAWSサービスをフル活用してデータ分析基盤を構築しているようです。

引用元: 世界最大級の「完全栄養食サブスク」は、たった1人のバックエンドエンジニアが支えている!その極意を、BASE FOODの中の人に聞いてみた – https://techfeed.io/entries/6396ee46c25cdd4ab1566a90

また各SaaSからのデータを取得するためにデータパイプラインツールとしてtroccoを用いています。SaaS,内製システムのデータをRedshiftに統合しデータ基盤を作成しています。BIはRedashやMetabaseを用いておりこちらについても自前でホスティングしているようですね。

各種のデータを一元化し横断して分析できるようになることで現在の状態をより詳細に把握できるようになっています。データの活用用途としては、BIツールの可視化の他に商品の需要予測などにも活用しているようです。

分析基盤では、マーケティング部門のアナリストなどが蓄積された各種データをもとに需要予測を実施し、商品の生産数の適正化を図ることで廃棄物を減少させたり、品切れを防止したりする取り組みも行っています。

ベースフード、サブスクリプション購入の EC サイトを AWS 上に構築し、約 40 倍のスパイクアクセスにも耐えるスケーラビリティを確保
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/basefood-case-study/

分析基盤を整えることで一つのデータを様々な用途に活用することができるため、データの利活用の幅を出すことができます。

2. スナックミー / 株式会社スナックミー

2つ目の事例はパーソナライズされたお菓子ボックスを定期配送するサブスクサービスを提供するスナックミーです。

スナックミーではDWHとしてBigQueryを利用しつつ、ワークフローエンジンとしてAWS MWAAを利用してデータパイプラインを構築しているようです。先程のBASE FOODのようにAWSサービスを基本としつつもBigQueryを活用している点が異なります。

引用元: MVPから始めるデータ基盤の構築 ~AWS MWAAを利用した安定運用に至るまで~ https://labs.snaq.me/entry/2022/09/01/235130

データの活用用途としては、ダッシュボードを用いた意思決定の補助などに利用されているようです。また、スナックミーは顧客ごとにパーソナライズされたお菓子を定期配送するため、お菓子の選定に機械学習を用いており、顧客の好みの学習にもデータが活用されているようです。

引用元: スナックミーの取り組みを【AWS Summit Tokyo 2023】で紹介してきました!
https://labs.snaq.me/entry/2023/05/17/115009

サブスク系のサービスにおいてはユーザーの利用期間が長くなればなるほどデータが溜まり、より高精度なパーソナライズを行えます。データ利活用のサイクルをコストをかけることなく高速に行うためにはデータ基盤の作成が必要となるのですね。

3. Oisix / オイシックス・ラ・大地株式会社

3つ目に紹介する事例は食材宅配サービスを手掛けるOisixです。

Oisixを運営しているオイシックス・ラ・大地株式会社では、DX改革プロジェクトが進められており、その中の1プロジェクトとしてAIや機械学習によるデータ活用プロジェクトが進められており全社的なデータ活用を推進するデータマネジメントオフィスが立ち上がっているようです。

現状、部門ごとにデータがバラバラに管理され、整理もされていない状態なので、社内横断で一元的にデータを活用できる体制をつくろうという動きです。データを集め、蓄積し、活用する際のルール決めなども行っていきます。

誰もがデータ活用できる会社へ。データサイエンティストとして感じる、オイシックス・ラ・大地の可能性
https://recruit.oisixradaichi.co.jp/ordig/2256/

どのようにデータ基盤が構築されているのかについての詳細は不明でしたが、データサイエンティストの採用ページに概要が書かれていました。DWHとしてSnowflake,データパイプラインとしてAirflow,BIツールとしてLookerが利用されているようです。

データの活用用途としてはスナックミーのように定期配送商品の顧客ごとに対する最適化、ヘルスケアデータを元にしたパーソナルメニューの開発などに用いられているようです。

例えば、Oisixでは「定期ボックス」という機能があります。お客さまの購入履歴をもとにした提案商品が買い物カゴにあらかじめ入っていて、お客さまはその中から不要な商品を削除したり、欲しい商品を追加したりします。ただ、機械学習などの技術を駆使することで、定期ボックスの精度向上の余地は大きいと思っています。

誰もがデータ活用できる会社へ。データサイエンティストとして感じる、オイシックス・ラ・大地の可能性
https://recruit.oisixradaichi.co.jp/ordig/2256/

D2Cブランドでは顧客と直接繋がっているため、必要なデータを揃える難易度が一般的なメーカーと比較して簡単である特徴があります。その強みを活かして様々なデータを横断して活用できる環境を整えていることが中長期的な競争力となるような事例ですね。

終わりに

D2Cブランド企業において、データ基盤がどのように構築されているのかや、データをどのように活用しているのかに関する事例を3つ紹介しました。

企業ごとのシステム構成に従ってデータ基盤に用いられている技術が異なっていることが印象的でした。データアーキテクチャに正解はなく、個社ごとの特徴に従って最適な構成を模索していくことが求められるのですね。

また、データ活用はデータが貯まれば貯まるほど様々なことが行なえます。今回紹介した三社ともまだまだデータの活用余地はあるようでしたのでどのようにデータを活用していくのかについて非常に興味があります。

データ活用を推進する立場として先進的な企業の事例を継続してウォッチしていこうと思います。

それでは!

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